平泉について学ぶ

LEARNING

知事メッセージ

MESSAGE FROM THE GOVERNOR

東北復興平泉宣言

 「平泉」が東北初となる世界文化遺産に登録されたことは、東日本大震災津波で大きな被害を受けた本県をはじめとする東北地方の方々にとり、復興に向けた希望の光となるものでした。

 そこで、平成23年7月3日(日)に中尊寺で開催された「平泉世界文化遺産登録、東北復興祈願金色堂参拝」において、達増知事が平泉ユネスコ協会・文化財愛護少年団の皆さんと一緒に、東日本大震災津波に対して平泉の理念、復興への決意などを盛り込んだ「東北復興平泉宣言」を発表しました。

東北復興平泉宣言(本文)

 平泉の文化遺産が、ユネスコ世界遺産に登録されました。平泉町、岩手県、そして東北の私たちにとって、大きな喜びであり、誇りです。
 東北は、3月11日の東日本大震災津波によりとても大きな被害を受けました。日本全国、そして世界中から多くのご支援をいただいたことに対し、心から感謝いたします。
 11世紀、東北では激しい戦乱があり、多くの命が犠牲となりました。奥州藤原氏の初代清衡公は、荒廃した国土を復興し、戦乱の無い平和な理想郷を実現するために、この地にこの世の浄土を創ろうとしました。こうして、平泉の文化遺産が築かれていきました。
 仏教の考え方に基づいて造られた平泉は、素晴らしい寺院や庭園を残すとともに、あらゆる生命を尊び共に生きるという理念を私たちに伝えています。
 私たちは、平泉の理念を胸に、東北の災害からの復興に取り組みます。そして、平泉の文化遺産を、将来にわたって守り伝えていくことを誓います。

平成23年7月3日
岩手県民を代表して  岩手県知事 達増 拓也

荒木飛呂彦氏による
東北復興平泉宣言イメージイラスト

 東日本大震災津波で岩手県を始め東北地方が大きな被害を受ける中、平泉の文化遺産が世界遺産に登録されました。
 岩手県では、平泉の理念を胸に大震災津波からの復興に取り組む決意などを盛り込んだ「東北復興平泉宣言」を発表するとともに、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの連載を始め国内外で広く活躍している東北(宮城県仙台市)出身の漫画家・荒木飛呂彦氏に依頼し、宣言のイメージイラストを描き下ろしていただきました。
 このイラストに込められた、人と自然との共生を願い、あらゆる生命を尊び共に生きるという平泉の理念は、東日本大震災津波からの復興へ向かおうとする私たちの未来につながっています。

世界遺産委員会知事スピーチ

 平成23年6月19日から29日までフランスのパリで開催された第35回ユネスコ世界遺産委員会において、「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」の審議が行われ、現地時間6月25日17時50分(日本時間6月26日0時50分)に世界遺産登録が決定しました。
 登録決定に際し、政府代表団の一員として出席した達増知事が壇上において御礼のスピーチを行いました。

スピーチ(本文)

議長
大使、
ご列席の皆様

3月11日の大震災で最も厳しい被害を受けた地域である岩手県の知事として、まず東北の人々を代表して、われわれに頂いた皆様の暖かい同情のお気持ちと大きなご支援に感謝を申し上げます。

そしていま、平泉を世界遺産リストに登録して頂いたことに対し、世界遺産委員会に御礼申し上げます。平泉の登録はわれわれの長年の夢でした。

平泉は12世紀に、悲惨な戦争の惨禍から立ち上がり、永続的な平和を打ち立てるために建設されました。創設の父たちは、シルクロードを通って外国から導入された種々の思想を役立てました。

したがって平泉の登録は、平泉の建設のもともとの理念に立ち返りながら、3月11日の惨禍からの復興という途方もない任務に現在直面している私たちに対し、大きな勇気を与えてくれるものです。

われわれの前に立ちはだかる課題は容易なものではありません。しかし本日の登録が私たちに与えてくれた力は、私たちが外国からのご支援と勇気付けに対して開かれている限り、必ずや目的達成に成功するであろうことを物語っています。

私が本日感じている歓喜と皆様への感謝の念は、必ず将来の世代に受け継ぎます。それにより平泉の遺産をしっかりと保全していくことができるでしょう。

議長、ありがとうございました。
委員会の委員の皆様、ありがとうございました。
すべての加盟国の皆様、ありがとうございました。
そして、
イコモスの皆様、ありがとうございました。